軸力 -JikuRiki-

中心軸の力で身体能力の可能性の扉を開く!

軸づくりには時間がかかる

あらゆる競技でも重要とされている「軸」ですが、多くの競技で「ブレない軸を作り出すには10年かかる」と言われています。

 

何故、そんなに時間がかかるのでしょうか?

 

■本当に鍛えているのは神経

「カラダを滑らかに動かす連動」にしろ、「負荷に耐える連動」にしろ、数多くの筋肉が滞りなく連動することで実現します。

 

この筋肉の動きを司っているのは『神経』。

多くの筋肉を滞りなく連動させるには、神経が、それぞれの筋肉に関連させた複雑な命令を出す必要があります。

 

連動性を高めるために、筋肉の連動させる運動を繰り返し行うのは、この神経伝達を良くするため。

カラダを動かす練習をしているので、筋肉を鍛えていると誤解されることが多いのですが、本当に鍛えているのは神経(伝達)なのです。

 

少し話は飛びますが、神経の命令で筋肉は「収縮」しかしません。

筋肉ができるのは、ひとつの方向に向かって縮むだけで、いったん縮み切ってしまったら、それ以上動くことはできないのです。

 

筋肉が伸び縮みしているように見えるのは、正反対の方向に動く「拮抗筋」が縮んでいるから。

例えば、腕を曲げることで上腕二頭筋と上腕筋が収縮すると、拮抗筋である上腕三頭筋は弛緩します。逆に、上腕三頭筋が収縮すると、拮抗筋である上腕二頭筋と上腕筋が弛緩して、腕が伸びるのです。

このように、筋肉の動きはシンプルなので、それを鍛えるのに、それほど期間はかかりません。トレーニングを行っていくと、個人差はありますが3カ月前後で筋肉量の増加が数値として現れます。

 

しかし、神経は、そうはいかないのです。

多くの筋肉が滞りなく滑らかに動かす命令は、非常に複雑。

それをスムーズにできるようになるには、多くの時間をかけて、何度も反復練習をしていく必要があるのです。

これが、「軸」を作るのに時間がかかる理由のひとつです。

 

■不随意運動をする神経

もうひとつの軸を作り出すのに時間がかかる理由は、「負荷に耐える連動」が不随意運動だから。不随意運動とは、自分の意志とは関係なく、カラダが反応する動きのことです。

 

「ボディコントロール能力と軸」のところで説明したように、運動によって起こる負荷は、カラダを動かすたびに負荷がかかる部分が移り変わっていきます。

瞬間レベルで、負荷がかかる部位が変わっていくので、それを認識して反応することは不可能。そのため、負荷に耐えてバランスを取る連動は意識下で行われているのです。

 

意識をして動く連動は、文字通り意識をすれば動かすことができるので、その動きを繰り返し行いやすい。

でも、無意識下の連動は、意識をして動かしているわけでは無いので、その動きを繰り返し、正しく行うことが難しい。だから神経伝達もなかなかスムーズにできるようにならない。

これが、「軸」を作るのに時間がかかる、もうひとつの理由です。

 

 

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