ボディコントロール能力が高まる最大のメリットは、上達までにかかる時間を短縮することができることです。
例えば、数カ月かかるテクニックの習得が1ヶ月でできるようになる。
だから、ボディコントロール能力を高めると、スポーツをすることがどんどん楽しく、面白くなるのです。
■ボディコントロール能力の条件
ボディコントロール能力を高めるには、条件があります。
それは、第一章で説明してきたように、骨格構造(構造)と、筋肉のコンディション(機能)が整っていることです。
この2つが整っていると、「構造的に正しい動き」ができるので、イメージ通りにカラダを動かしやすくなるのです。
機能と構造が整えた上で、筋肉の連動性を高める練習を繰り返し行っていくと、ボディコントロール能力を高めることができます。
つまり、第一章で説明をしてきた「性能を高める」というのが、ボディコントロール能力になるわけです。
■筋肉の連動と軸
性能を高めるのは、「カラダの性能とポテンシャル」で説明したように、「滑らかに動く連動」と「負荷に耐える連動」の2つの連動性を高めていくこと。
負荷がかかってもバランスが崩れることなく、滑らかにカラダを動くようになると、イメージ通りにカラダを動かせるようになる。つまり、ボディコントロール能力が高まるのです。
『ボディコントロール能力=滑らかに動く連動×負荷に耐える連動』
この2つの連動で、習得が難しいのは、「負荷に耐える連動」。
例えば、脚が遅い人が走っている姿をイメージして欲しいのですが、そういう人は、上半身が左右にブレてしまっています。
何故、ブレるのかというと、地面を脚が蹴る負荷に体幹部分が反応できていないからです。
機能と構造が整い、動かしやすいカラダになっていれば、「滑らかに動く連動」は、それほど難しくありません。動ける土台ができているので、少し練習をすれば、滑らかな動きをすることが得切るのです。
しかし、負荷に耐えるための連動は、そうはいきません。
地面を蹴ると脚に負荷がかかり、その負荷は体幹に伝わります。
軸がブレずに走るには、体幹と腕でバランスを取ることが必要になりますが、体幹の負荷がかかる部分は、着地した瞬間、カラダを前に運んでいる瞬間、地面を蹴った瞬間…と、脚を動かすたびに刻々と移り変わります。
その瞬間、瞬間に、体幹のどの部位に負荷がかかっているのかを認識するのは、体感覚が敏感な人でも不可能。
もし、その認識ができたとしても、負荷が変わる位置が変わる度に、その部位を意識して、筋肉を動かし、バランスを取ることは誰にできません。
運動によって生じた負荷に反応してバランスを取る筋肉の連動は、言うなれば、意識下で行われる不随意運動(自分の意思とは関係なく、体が自動的に動く運動)。
意識下で反射的に行われる連動なので、負荷に耐える連動がスムースに行えるように鍛えるのは難しいのです。
■負荷に耐える連動と軸
カラダを滑らかに動かす連動ができたとしても、その動きをしている途中でバランスが崩れれてしまえば、イメージ通りにカラダを動かすことはできません。
逆に、運動をすることで負荷が発生しても、その負荷にカラダが反射的に反応し、バランスが崩れることなく動くことができれば、イメージ通りにカラダを動かすことができる。
この、運動時にかかる負荷にカラダが反射的に反応し、バランスが取れる状態のことを「軸」と言います。
あらゆる競技で「軸」が重要とされるのは、バランスが崩れることなく動けるようになると「イメージ通りにカラダをコントロールできる」だけでなく、「動きのパフォーマンス(身体能力)が向上する」「疲労や怪我のリスクが軽減する」などのメリットがあるからです。