運動時にかかる負荷に、反射的に筋肉が連動しバランスを取れる状態のことを「軸」といいます。
軸ができると、「イメージ通りにカラダをコントロール」できるようになるだけでなく、「動きのパフォーマンス(身体能力)が向上する」「疲労や怪我のリスクが軽減する」などのメリットがあります。
■動きのパフォーマンスと軸
運動時に掛かった負荷でバランスが崩れると、そのバランスを取りなおすのに筋肉が優先して使われます。バランスが崩れたままにしておくと、転倒(からの怪我)などのリスクがあるので、カラダを守るために自然とバランスを取る方を優先するのです。
本来、動きに使われる筋肉が、バランスを取るのに優先的に使われると、物理的に動きのパフォーマンスは低下します。
■疲労と軸
疲労の原因は、長い間、「乳酸」が原因だとされていました。
しかし、運動をすることで筋肉中に増える乳酸が疲労の原因だという説は10年以上前に否定されています。
最新の研究では、逆に、乳酸は筋肉の活動を促進する有用な成分だと考えられています。
では、疲労とは何なのか?
疲労の原因は脳の神経細胞にダメージが蓄積するためであることが様々な研究で証明されています。
バランスが崩れていると、それを整えるのに、常に筋肉が働き続ける必要がありますが、そうなると筋肉を動かしている神経が疲労するのです。
また、常に筋肉を働かせていると、交感神経が優位になり、自律神経のバランスが崩れることで、疲労を回復するための良質な休息を取ることが難しくなるのが、疲労蓄積の原因になることも分かっています。
軸ができると、筋肉が働き続ける必要が無くなるので、疲労をしづらくなりますし、良質な休息をとりやすくなります。
神経が疲労すると、筋肉がスムースに動きづらくなると、怪我をしやすくなりますが、軸ができると、そのリスクも軽減することができるのです。
■軸の正体
軸は、あらゆる競技で重要とされているものですが、骨格や筋肉、内臓、血管のように、CTで撮影できるような物理的なものではありません。
そのため、色んな人が、様々に定義しているので、改めて「軸って何?」と聞かれると、即答できる人は少ないもの。
しかし、人間のカラダの動きという根源的な視点で見ると、軸の正体とは、運動によって負荷が発生したとしても、その負荷に瞬間的に反応し、バランスを整えることができる能力のことなのです。
運動によって発生する負荷は、前述の「走る」のように、自分の体を動かすことで発生するものもあれば、サッカー、バスケット、柔道、空手、ボクシングのような、コンタクト系のスポーツで相手から受ける負荷もあります。
例えば、ボクシングで、相手から打撃を受けたとしても、その瞬間に「負荷に耐える連動」が反射的に起これば、軸が崩れることなく動き続けることができるます。
軸とは、「反射バランス力」ともいうことができるもので、この軸の力(軸力)を高めることで、ボディコントロール能力や身体能力を高めることができるのです。