どんな練習をするのかで、上達のスピードや度合いが決まる。
トップアスリートのように、自分にとってベターな練習方法を選択するには、どのように考えていけばいいのでしょうか?
■練習方法を選択する考え方
ベターな練習方法を選択するために、ここまでのポイントをまとめておきます。
1.構造と機能で、カラダのポテンシャルが決まる
2.性能を向上させると、ポテンシャルを高め、引き出せるようになる
3.構造と機能の整い具合で、どこまで性能を高められるのかが決まる
ベターな選択をするためには、次のようなステップで考えていきます。
Step1:構造、機能、性能の課題の確認
Step2:上達に必要なテーマの設定
Step3:練習時間の明確化
Step4:練習方法の選択と割り振り
Step5:上達の確認と改善点の検証
Step2にあるテーマとは、それぞれの競技で上達するのに必要とされる、筋力、瞬発力、スタミナ、柔軟性、テクニックなどです。
一般的に練習を選択する場合、例えば、もっとパワーをつけたいので筋トレをするとか、スタミナをつけたいから走り込むと言った具合に、このテーマで練習を決めていることが多いと思います。
しかし、構造、機能、性能、テーマを重要度で並べると次のような順番になるのです。
⇒ 構造・機能 > 性能 > テーマ
カラダのポテンシャルが低ければ、どんなに練習をしても上達はできません。
だから、構造・機能が最も重要順位が高いのです。
次に重要順位が高いのがポテンシャルを高める性能。
ポテンシャルが高まった上なら、テーマを実現しやすいので、重要順位は低くなります。
■ベターな練習を選択する
構造と機能、性能の課題を確認し、その解決方法を紙に書き出します。
構造か機能に課題があるのなら、筋肉のコンディションを整えること。
性能に課題があるなら、基本フォームや連動性を高める練習を行うことです。
最後に、自分が行っている競技で、上達するために必要なテーマと、それを実現する練習方法を紙に書き出します。
どの人にとっても時間は有限ですので、練習に割くことができる時間を明確化し、機能・構造、性能、テーマに関する練習をスケジュールに落としていきます。
上達するには、あれもやったほうが良い、これもやったほうが良い…と思ってしまうものですが、その際、物差しになるのが「重要度」。
やったらいいことをすべて実行しようとするのではなく、重要順位が高いものから、優先的にスケジュールに書き込んでいきましょう。
構造と機能に関するものが、最重要。でも、筋肉のコンディションを整えるのには、それほど多くの時間を取る必要はありません。
次に重要なのが、性能に関するもの。連動性を高めるには、それなりの練習時間が必要になります。
最後が、テーマ。上達するのに必要な練習にも、それなりの時間が必要になります。
時間配分としては、ざっくり、構造と機能を整える練習が2、性能を高める練習が4~5、テーマに関する練習が3~4…くらいになることが多いのですが、当然、構造や機能、性能に関する課題が大きな場合は、当然、その配分が大きくなります。
この思考回路で、練習メニューを決めていくことで、自分にとってベターな練習方法を選択し、練習メニューを組立てていくことができるのです。
練習を変えれば、上達度、カラダの状態、動きやすさなどは、確実に変化をします。
例えば、ひとつの課題が解決されることで別の課題が出てくることもありますし、上達をすることで、新たな課題が出てくることもあります。
1~3カ月ごとに、それらを確認し、練習方法や時間配分の改善点を見つけて、練習メニューを変更することで、カラダを正しく調整していくことができるのです。