『構造』と『機能』を合わせたものが、カラダのポテンシャルです。
このポテンシャルを更に高め、それを引出すためには『性能』を高めていく必要があります。
では、カラダの動きの性能を高めるには、何が必要なのでしょうか?
■性能は筋肉群の連動
筋肉の出力を高めるトレーニングや、関節を動きやすくするストレッチなどを行うことで性能を高めることができますが、もっと重要なものがあります。
それが、「筋肉群の連動」です。
人間のカラダの動きは、複数の筋肉群が連動することで作られていいます。
ですから、筋肉群の連動がスムーズになると、動きの性能が高まるのです。
この筋肉群の連動は、働きによって2つに分類できます。
1.滑らかに動く連動
2.負荷に耐える連動
実際には、この2つの連動が同時にできたときに動きの性能が高まるのですが、理解しやすいように分類して説明していきます。
1.滑らかに動く連動
これは、カラダを動かすための連動です。
様々な筋肉群が連動することで、カラダは動いています。
例えば、歩くというシンプルな動きでも、下半身の筋肉群の働きだけで歩いている訳ではありません。背骨周り、肩甲骨周り、腕の筋肉群が連動することで、スムーズに歩くことができているのです。
運動とは、脚が地面を蹴る、カラダを捻じる、腕を振る、体重を移動するなどで、カラダのどこかで発生した力を、他の部位に伝達することで行われています。
この力の伝達を円滑に行うには、必要な筋肉群がスムーズに連動することが必要で、その結果、舐めカラにカラダを動かすことができるのです。
2.負荷に耐える連動
運動やスポーツでは、カラダのどこかに負荷が発生します。
例えば、走ったり飛んだりする動きなら、地面を足でけった際に、それと同じ力が足に掛かりますし、パンチを打てば、それと同じ力が腕にかかります。バットやラケットでボールを打った時も同じように負荷がかかります。
このような自分のカラダを動かすことで発生する負荷以外に、サッカーやバスケットで他の選手にコンタクトする、柔道で相手に引き付けられる、レスリングやラグビーでタックルを受けるなど、競技によっては他者から負荷を受けることがあります。
こうした負荷により、重心バランスが崩れると、バランスを持ち直したり、保つのに優先的に筋肉が使われるので動きのパフォーマンスは低下します。
例えば、全力で走るために地面を蹴ると、足には体重の数倍の衝撃かかかります。
この負荷に耐える連動ができないと、体幹部分がブレながら走ることになり、スピードは遅くなってしまうと言った具合にです。
この2つの連動性が向上すると、重心バランスが崩れることなく、滑らかにカラダを動かすことができるので、カラダのポテンシャルを引出すことができるのです。
■重心バランスと軸
あらゆるスポーツや格闘技、ダンスなどで重要とされるのが「軸」です。
しかし、骨格や内臓のように物理的に存在するものではないので、解説をする人によって少しずつ定義が異なり、改めて「軸とは何ですか?」と聞かれると、即答するのが難しいのではないでしょうか。
様々に定義されている軸ですが、その本質は、重心バランスを保つ能力。
カラダを動かすことで発生した負荷や、他者から受ける負荷によって、重心バランスが崩れることなく保ち続けられる能力が高い人ほど、強い軸を持っていると言われるのです。
地面を蹴って走る際、地面から返ってくる負荷に瞬時に反応できなければフォームは崩れますし、他の選手とコンタクトして負荷がかかった瞬間に反応できなければ、押され負けをしたり、転倒してしまうといった具合に、負荷を受けた瞬間に筋肉が連動しなければ、軸はブレてしまいます。
つまり、同じ連動でも、「滑らかに動く連動」は、カラダを動かそうと意識することで起こす連動ですが、「負荷に耐える連動」は、無意識で反射的に起こる連動という違いがあります。