カラダの構造というと、骨格、筋肉、神経、内臓なども含みますが、人体の動きは、骨格を筋肉が支え、動かすことで作られるので、動きのパフォーマンスでいうなら「骨格構造」が、カラダの『構造』になります。
構造は、カラダのポテンシャルを決める重要な要素で、構造が崩れていると、いくら筋肉を鍛えたり、柔軟性を高める練習を行っても、動きのパフォーマンスを向上させることはできないのです。
■カラダの構造
直立二足歩行をする人間は、4~6㎏もある頭部がカラダの最上部にあります。
この頭部の下に、背骨があり、背骨は仙骨で骨盤と繋がり、骨盤は股関節で脚の骨と繋がった構造になっています。
運動をすると、カラダに負荷がかかります。
例えば、地面に着地した衝撃だと、ゆっくりとした歩行時には、体重より少し重いぐらいの負荷が、ランニングの着地時には、体重の1.5~5倍、ジャンプの着地時には、体重の10~12倍程度の負荷が脚にかかるのです。
この衝撃から頭部を守るため、背骨は横から見ると緩やかなS字カーブを描き、しなやかなバネのような働きをしています。
これに、仙骨周りの関節(仙腸関節)、股関節、膝関節、足関節(足首の関節)などが滑らかに動くことで、運動時に主に発生する縦方向の衝撃から頭部を守ったり、体重を上手く分散することで重力に逆らって動くことができます。
それから、背骨の中の胸椎は肋骨と繋がています。
この鎖骨の前にある胸骨と鎖骨がつながり、鎖骨は肩甲骨を介して腕をカラダに繋ぎとめています。
この肋骨と肩甲骨が肋骨の上をすべるように、そして、肩甲骨と骨盤が連動して動くことで、腕を自由に動かしています。
■重心点と重心線
どんなものにも重心バランスが取れる一点というものがあります。
例えば、ボールペンでも、この一点で支えると、均衡を取ることができるのです。
人間のカラダをCTで撮影するように輪切りにしてくと、それぞれのパーツに重心バランスが取れる一点があります。
この重心点を繋げたものを、「重心線」といいます。
正しい骨格構造だと、直立した状態で、地球の中心から頭頂部まで真っ直ぐ線を引いた線と、重心線が一致します。これが、武道で言うところの「骨で立つ」という状態で、骨を支えるのにほとんど筋肉を使う必要がありませんので、自然な脱力をすることができます。
逆に、地球の中心から頭部まで引いた線と、重心線がズレたりブレたりしていると、切骨格を筋肉が支え続ける必要があり、筋肉の緊張状態が続き、上手く脱力することができません。
■構造の崩れとリスク
骨格構造に歪みが発生すると、ポテンシャルに様々な悪影響を及ぼします
1.動かしづらくなる
構造が崩れると、スムーズに動かしづらくなります。
その結果、同じ動きをするのでも、その分だけ多くの筋肉が必要になるので、ポテンシャルは低くなります。
2.動作が遅くなる
例えば、バスケのシュートを打つような動きをする際、猫背のままだと、ゴールが見えないし、構造的に腕が上がりづらくなるので、正しく打つことができません。
正しいシュートを打つには、一度、背中をまっすぐにする必要があり、そのアクションをする分だけ動作が遅くなります。
3.代償運動になる
代償運動とは、ある動作が困難なとき、別の筋肉で補って、その動きをすることを言います。表面的には同じ動きをしているように見えても、本来使う筋肉とは違う筋肉を使っているので、動きの効率は悪くなります。
構造が崩れ、動かしづらい骨格になると、この代償運動が起こりやすくなるのです。
4.筋肉の緊張状態が続く
骨格構造が崩れると、重心線がズレます。カラダはバランスを取るために、常に働き続け、緊張状態が続くことになります。
その結果、疲労が蓄積され、パフォーマンスが低下します。
また、緊張状態が続くと、交感神経優位の状態が続くことで、疲労回復が汁らくなります。
このように骨格構造が崩れると、複合的な理由によりポテンシャルが低下するのです。