構造、機能、性能の課題を解決していくことで、動きのパフォーマンスを高めることができます。
では、それぞれの課題を解決するには、どのような方法があるのでしょうか?
■構造と機能の課題を解決するには
構造と機能は相関関係にあるので、筋肉の硬直を解消すれば、骨格構造を整えることができます。そして、骨格構造が整い、特定の筋肉に負荷の集中が無くなると、関節や神経のコンディションも整います。
つまり、筋肉の硬直を改善することで、骨格構造、筋肉、関節、神経のコンディションを整えることができるのです。
筋肉の硬直を取るには、ストレッチやヨガなど、筋肉を緩め、血流を良くする練習を行うこと。
硬直がひどい場合は、治療院で施術を受けたり、ストレッチジムなどで筋肉をほぐしてもらうことも有効です。
ひとつ、覚えておくと良いのが、「カラダが柔らかい=筋肉のコンディションがいい」とは、必ずしもならないという現実。
実際、バレエや新体操、空手、テコンドーなど高い柔軟性が求められる競技をしていて、カラダは凄く柔らかいのに、肩こりや腰痛を抱えているアスリートやスポーツパーソンは少なくありません。(不快な症状があるということは、機能に問題があるということです)
筋肉を過剰に伸ばすようなストレッチをすると、筋肉が収縮しづらくなり、その機能が低下します。
そうなると、機能が低下している分を周りの筋肉が補うようになり、その結果、代償運動を行ったり、補っている筋肉群が硬直を起こして骨格バランスが崩れるのです。
「カラダが柔らかい=筋肉のコンディションがいい」という公式を持っているために、硬くなった筋肉を無理に伸ばしていくストレッチを選択する人は少なくありません。しかし、痛みを感じるようなストレッチは、逆に構造や機能を低下させてしまいます。
「筋肉の血流を良くして柔らかくする」をテーマに、脱力系の緩やかなストレッチを選択する方が、効果的に筋肉の硬直の改善ができるのです。
■性能の課題を解決するには
性能のカギを握っているのは、筋肉の連動でした。
筋肉の連動性を高めるには、シンプルに、その競技に必要な動きを繰り返し行っていくことです。多くの場合、それは、その競技の基本的な練習になります。
もちろん、単に繰り返して行うのではなく、正しいフォームや動きをイメージして繰り返していくこと。
神経は脳の一部ですから、明確にイメージをして動くことで、その動きが神経に記憶され、徐々に筋肉がスムーズに連動するようになります。
話は飛びますが、筋肉隆々のボディビルダーを、小柄で筋肉量も劣るアームレスラーが、腕相撲で打ち負かす…と言った動画を見たことは無いでしょうか?
もし、見たことが無いという方はYouTubeで検索をしてみてください。
ボディービルは、筋肉美を競う競技です。そのため、筋肉を個別にパンプアップしていくトレーニングをします。その腕は、丸太のように太いのですが、普段から個別に筋肉を動かしているので、腕力だけでアームレスリングをしてしまいます。
しかし、アームレスリングで重要なのは、実は腰。
アームレスラーは、骨盤周りの複数の大きな筋肉群で発生した力を、腕に伝える練習(すなわち、腰と腕が連動する練習)をしているので、腕の太さでは負けても、腕相撲では勝てるのです。
これは一例ですが、筋肉群が連動をすれば、人間は凄い力を発揮することができます。
もちろん、競技に必要な筋肉をつけていく練習は必要ですが、「この部分が弱いから」と、その部位を筋肉で補強するのではなく、まず、連動性を高め、それでもカバーしきれない課題があったら筋肉をつけていくという考えで、練習を選択するべきなのです。